「第九のきせき」は、ホワイトハンドコーラスNIPPONの子どもたちの表現からインスピレーションを得て生まれた写真作品が始まりです。白い手袋の先から魔法のように光が放たれる瞬間を見た時のことは今でも忘れません。私にとって写真を撮ることは一瞬の輝きに写る生きる喜びを探す旅でもありますがあの日の出会いは鮮明です。
溢れ出すエネルギーと自由で豊かな表現力は、私たちを勇気付ける希望の光です。ホワイトハンドコーラスの活動は、目の前だけでなくその奥にあるものを感じる心の目を培ってくれます。それはむしろ大人のほうがハッとさせられることかもしれません。
「第九」で伝えたかったベートーヴェンの想いを、願いを、子どもたちと一緒に向き合い国境や障害、五感も超えて、世界中の人と「歓喜の歌」で繋がる、こんな尊い経験をさせてもらえることに心から感謝しています。

田頭真理子

写真家